• まずはここからワイヤー放電加工初心者の方は必見です
  • 一番人気、ワイヤー放電加工歴が長いベテランも思わず目からウロコ
  • 熟練者向け、ワイヤー放電加工の将来像と具体的な課題

息子

お父さん

父さん、僕もやっとワイヤー放電加工博士って呼ばれるようになったんだ。
これで父さんに追いついたね。

(...いや、俺は呼ばれてないけど...)

さあこのワイヤー放電加工博士に何でも聞いてご覧よ!

そうかそうかお前も立派になったな。
じゃあ、具体的にワイヤー放電加工の原理を教えてもらえるかな。

お安いご用さ!
この図を見てみてよ。
左側が加工ワークで右側の円がワイヤー線の断面と考えておくれ。

ワイヤー線 (1)ワイヤー(電極)と金属(製品)は共に純水中で絶縁状態にある。
製品とワイヤーの隙間(極間)が数μmから数十μmぐらいまで近づくと、ついにお互いの絶縁が破壊され火花放電が始まる。
パルス電流 (2)放電が発生するとパルス電流が流れその間が、アーク柱と言う密度の高い放電状態になる。 そこでは数千度の高温が発生し、金属が溶融しだす。
パルス電流 (3)アーク柱は品物やワイヤーと一緒に水中にあるので、高温部分に触れた水が爆発的に蒸発しする。
その圧力で溶融した金属を吹き飛ばす。
パルス電流 (4)パルスが切れて電流が流れなくなると、回りの水が流れ込んできて細かなクズを押し流す排除しながら冷却もされる。
そして極間が確保され絶縁が回復する。そして①に戻り繰り返す。

この図では大きく書いてあるけど、一発の放電では数ミクロンからせいぜい数十ミクロン程度しか加工されないのだけれど、実際にはこのサイクルが1秒間に数十万回も繰り返されて加工が進むってことさ。

(...こいつ、いつもこの図を持ち歩いてるのか?...)
そうだな。
青白い光や加工中に「ジャー」という音が聞こえるんだよな。それが連続した放電の光と音ってわけだ。

そうさ!放電加工ってすごいよねー!

じゃあそのワイヤー放電加工機はどんな構造をしてるんだ?

ふふん。そんな質問が来ると思って用意していたのがこの図だ!

最近はこの図の形式とは違いY軸駆動がコラム移動式の機械も出てきているので要チェックだ!

「ドブ漬け」って知ってるか?

ふ、当然。
それは放電する部分への純水(油の場合もある)の供給方法で、 「吹き掛け式」と「浸漬式」があり、その浸漬式を、通称「ドブ漬け式」と呼んでいるね。
上下のノズルからワイヤー線に沿って直径数ミリの水柱状にした水を、噴射して供給する方式で「吹き掛け式」と言って今までの一般的な方式なんだ。
それに対し「浸漬式」は製品の加工部分を加工層の水中に沈めて加工する方法で、どんな複雑な製品形状でも水が途切れると言う事がない安定した方式だよ。

「自動結線装置」も大切なんじゃないのか。

今言おうと思ったんだよね。
「自動結線装置」ワイヤー放電加工の効率を左右する重要な装置だね。
ワイヤー加工で一枚の板に2つ以上の内形状や孔を加工しようとすると、1つ目の形状を加工したら、次の形状を加工するためには当然、1回ワイヤー線を切断して次の加工位置まで移動してから再びワイヤー線を繋がなくてはならない。
これを自動で行なう装置でワイヤー線をパイプで誘導するパイプ式やジェット水流でワイヤー線を通すジェット式などの方式があるよ。最近はジェット式が一般的だね。
でも昔は1ミリ以下のスタート孔に、この作業を人間がするしかなかったんだ。だから何十箇所も孔が有ったら、視力と努力と忍耐を必要としていたんだ。
だからマシニングセンターのATC(AutoToolChanger)と同じで、確実性とサイクルタイムが「自動結線装置」の性能ということになるね。
最近はサイクルタイムが10秒台の機械も出てきている。
ただ、ATCと違ってワイヤー加工の自動結線では、ワイヤー線が100%通るわけではないんだな。
ATCで工具交換が1本でも失敗したら大事故になってしまうね。
「自動結線装置」はメンテナンスの不足や下穴位置の不良等が主な原因で数%の接続ミスが発生してしまうんだ。
進むべき加工が夜間などにストップしていて、翌朝にミクロ技研は大慌てすることもあるんだ。

(...なるほど。よく勉強しているようだな...)
ところで、どんな加工形状が可能なのかな?

そうくると思った!じゃーこの表をみて。

内形状 製品に円形・矩形や異形の孔形状を加工する。
最も一般的な加工で安定して*多重カットが出来るので加工精度が高い。
(加工サンプル写真の1.を参照して下さい。内形状のギヤー加工です。何だか判りませんが!)
外形状 孔や内径を基準にして板材などから、製品の外形状を加工する。
製品が下に落ちないように、形状の数箇所にブリッジを付けて、後からブリッジを切り離す。研削等での追加工が必要。
(加工サンプル写真の2.と3.を参照して下さい。2.では外形状の櫛歯形を2工程で加工しています)
内外形状 内形状と外形状を一緒に形状加工を行なう加工。
内外形状の関係位置精度を高く出せる。
(加工サンプル写真の4.を参照して下さい。中心の孔と外周のスプロケットを同時加工して、0.02以下の関係位置を出せます。)
テーパー形状 内外形状にプラスとマイナスのテーパーを付ける加工。
(テーパー角度はミクロ技研では約15°ぐらいまでです。機種によっては45°ぐらいまで可能です)
上下任意形状 製品の上下面の形状が違う形状加工。
(加工サンプル写真の5.を参照して下さい。左のサンプルは下面が円形で上面が三角です。)
切断 細い切断代で製品を割ったり、スライスする加工。

*多重カット:セカンドカットとも言い、同一軌跡で少しづつオフセットをかけて
二回以上加工を行い、精度と面粗度を良くしていく加工法。

加工できる材質は電気が通ればいいってことだな?

そうだね!考え方はその通り!電気が導通する材料であれば加工は可能だよ。
ただ金属でも「ハステロイ」のような耐熱鋼などだと、融点も高いので当然加工スピードは遅くなるんだ。
また最近では焼結ダイヤや導電性のボンドのCBN、同じく導電性のセラミクスなどの非金属でも、電気を通すので加工が出来るんだ。
でもこの非金属の加工はあまり一般的とは言えないかな。

じゃー大事なワイヤー線の種類はどんなものがあるのかな?

へへへ。それも表にまとめてみました~。これをみて。

ワイヤー線の材質 真鍮、タングステン、モリブデン、鉄芯コーティング
ワイヤー線の太さ 0.02, 0.03, 0.05, 0.07
0.1, 0.15, 0.2, 0.25, 0.3, 0.35
真鍮ワイヤー線(真鍮ワイヤー線) 材質が真鍮で太さがφ0.2~φ0.3のワイヤー線が一般的。
タングステン線は真鍮より張力が数倍以上強いので、φ0.05以下の極細線に使われています。
又ワイヤ-線は普通1回だけの使いきりの消耗品です。
精度がラフな一部の機械では、ワイヤーをエンドレスで使っている特殊な場合もあるようです。

ま、常識かな。

(...こいつ、いつこんなもん作ってんだ?...)
加工範囲はどれくらいなんだ?

機械の稼動範囲がX=800、Y=1300でZ=500と云う大型機もあるようだね。
だから製品寸法はもう少し大きくても機械に載るので、製品重量だと2~3トン程度までは加工が可能なんだ。
小さい方ではφ0.02のワイヤー線が有る。
内形状加工でも最初にワイヤーを通すスタート孔が必要なので、その孔径で最小加工寸法が決まってしまうんだ。
今のところ一般的にはφ0.1程度が最小径に近いので、実用的な小さい方はその辺りだと考えられるね。
もちろん研究室の実験レベルでは、もっと微小な加工もできるようだよ。

ふむ。ではその精度は?

実際の加工精度は、製品の材質や形状がその時々で条件が異なるので、一概に言えない難しい問題かな。
ワイヤー放電加工の加工精度は、ピッチ精度・繰返し精度・真直度・真円度・タイコ量・コーナー精度と面粗度などで表されることが多いんだ。
この中でタイコ量というのはワイヤー放電加工の特有な現象だよ。
これは加工中に上下のワイヤーガイドの間で、ワイヤー線が微小に振動して振れるので、切られた製品の垂直方向の断面が、凹んだり凸ぱったりする量を言うよ。
真直度:1.5μ/60mm、真円度:1.5μ/60mm、面粗度:1.5Rmaxカタログや文献で見ると、このぐらいのデータが出ているので、現在のチャンピオンデータに近いと思われるね。
と言う事は、測定精度なども関係してくるので、通常はこの値の2~5倍ぐらいが実際の加工精度だという言い方も出来ると思うよ。

そうだな。簡単には言えないということなんだよな。
実際にお客様から依頼があるときには注意してもらわなきゃいけない事がある。それはな、ま

ストップ!もう「ご依頼の際のお願い」っていうページを先に作っちゃいました!お客様にわかりやすいように詳しく載ってるから父さんもみてみたら?

何だと!!?(...こいつ、どんだけ先回りするんだ?...)
現在機械を作っているのはどんなメーカーがあるか知ってるか?

それも表にまとめて主なメーカーのURLを載せておいたよ。
この中でアジェ・シャルミーはスイスのメーカーで、元はアジェとシャルミーという2つの会社だったんだ。
今は資本が一つの会社になっているけど、2社とも放電加工のパイオニア的な存在だね。

(株)アジェ・シャルミー (英語) http://www.gfac.com/
西部電機(株) http://www.seibudenki.co.jp/houden/index.html
ソディック http://www.sodick.co.jp/j-index.html
(株)牧野フライス製作所 http://www.makino.co.jp/product/waiya/waiya.html
ファナック(商品案内からロボカットへ) http://www.fanuc.co.jp/
三菱電機 http://www.nagoya.melco.co.jp/mechatro/diax/

ページは英語だけど、放電の歴史なども載っているよ。

お前はワイヤー放電加工の将来像はどのような物になると思う?

さすがにそれは難しい質問だなぁ。じゃーこの人に答えてもらおう!

君はジョーンズ...?ジョーンズじゃないか!!

そうなんだよ父さん。僕の大学の教授のジョーンズ先生!父さんとジョーンズ先生は昔同じ工場で技術を磨き合ってたんでしょ?

あーそうさ!あの頃がなつかしいな!

いやー懐かしいね。まぁ昔話はあとでゆっくり。それよりさっきの質問だが確かに難しい質問だな。
まずワイヤー放電加工機の位置付けだが、工作機械の中の電気加工機として、その加工の需要は暫く続くと思う。
ワイヤー放電加工自身がある精度のレベルでは、今まであった加工法に取って替わってきたわけだ。
その例として、単なる角孔を加工するブローチ盤加工や、精密金型のパンチやダイを加工するプロファイル研削盤加工がそうだろうと思う。
今のところ内側コーナーを必要とする形状の効率の良い加工方は、ワイヤー放電加工以外には見当たらない。
しかし他の工作機械と同でワイヤー加工放電加工機も常に、高精度化、高速化、自動化が求めらていることには変りがない。
特に近年は機械加工はナノテクノロジと言われるような微細化の要求が強まっている。
そんな中でマイクロマシンなどの、サブミクロン領域の加工を別にすると、特に焼入れ材や超硬合金で0.1mm程度の微細形状加工は、現状でワイヤー加工は形彫加工も含めて放電加工にしか出来ないケースが多いという強みを持っている。
だからワイヤー加工屋さんはそういう方向で技術的な向上を目指していれば、ある時突然にワイヤー放電加工の仕事が廃れてしまうようなことは考えにくいだろうと思われる。

(...数十年ぶりの再会なのに大分あっさりだな...)
ん、ん~。それで?具体的な課題についても聞きたいもんだな。

では話が長くなるので、私の教授室でゆっくり話そうか。

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